SDGsセミナー参加ご報告「社会課題解決型ビジネス」について

2019/08/22

8月21日18:30〜20:00
昨夜、池袋で開催されたSDGsセミナーに参加して来ました。

テーマ:SDGsビジネスのはじめ方
講 師:一般社団法人SDGsアントレプレナーズ代表理事 青柳仁士さん

青柳さんは、国際協力機構(JICA)に在任中は、米国、アフガニスタン、アフリカ諸国に駐在にしていたとのこと。SDGsが日本で始まった2016年には、国連開発計画(UNDP)の広報官として、国際機関、省庁、企業・大学・メディア・NPOのパートナーと一緒にSDGs普及に尽力して来られた、日本のSDGsの草分け的な存在です。

SDGsの世界の現状

SDGsの世界の現状は、貧困については随分良い方向へ向かっているそうですが、そのほかは、今のままでは2030年のゴールは難しい。また、日本については、評価が高いのは教育や産業だけ。ジェンダーの平等については最悪、貧困についても、低い評価だそうです。

そんな中、SDGsを導入している民間企業はかなり増えてきていて、会社内でSDGsの勉強会や講演会も開かれ、認知度は上がっているのではないかと思います。

日本企業の取り組み

青柳さんは「今やSDGsを導入していない民間企業は、顧客、投資家、外部人材・社員、取引先等の基本アクターを引き付けることが難しくなってきている」といいます。実際に、ある素材メーカーがSDGsの取り組みをしていなかったため、大手自動車メーカーから契約を打ち切られたということが起こっているそうです。

(かつてのK社とF社を例に出し、デジカメの時代の到来にフィルムにこだわった方は潰れ、時代の潮流にのった方は生き残った話をあげ、いかにニーズを掴むことが大事かを説明)

とはいえ、「SDGsの重要さは分かったが、次に何をしたら良いか分からない」 という声が多いのも事実。SDGsの取り組みを始めたとしても、「既存事業にSDGsラベルを貼って整理する程度に留まっているのが現状」だとか。

SDGウォッシュ

青柳さんは、「SDGウォッシュ」にならないようにと呼びかけます。
すなわち、中身が変わっていないのに、外側だけを良く見せよう、自社の宣伝のために「いいことしている」アピールだけに終わっているのだということです。

下記のような取り組みをして、SDGsを推進しているという企業が多いそうです。

・コンプライアンス

・広報ブランディング

・統合報告書コンテンツ

・環境社会配慮

・CSRの一つ

しかし、既にある取り組みを、SDGの17の目標に紐づけただけででは意味がない、圧倒的な投入量が必要だというのです。

社会課題と顧客課題は違う!

また、目から鱗だったのは、「社会課題と顧客課題は違う」ということです。「貧困」を例にすると、食糧が足りず、栄養不足で子どのたちの成長に影響を及ぼしていても、周りの子供たちがみなお同じだから、親たちは問題があると思っていない。またお金を稼ぐために武器や麻薬を売ることも、儲かるんだからやるということで、意識の隔たりがあります。

こうしたことから、SDGs解決には、下記の2つが必要だと青柳さんは言います。

  • 公共事業
  • 社会課題解決型ビジネス

公共事業だけではなく、民間のテクノロジーやアイディアがないと解決は不可能なのです。

ミッションとパッション

そのためには、その仕事に対する「ミッション」と「パッション」を見つけること。「社会貢献」や「やりがい」に重きをおくミレニアム世代が社会人となった現代では、仕事に対しての感覚が昔と変化してきているそうです。

その仕事に運命を感じるか、自分がやれば解決できるのでは!また、本質的に正しい、美しい、意味がある、重要か、面白いかという視点で仕事を捉えているそうです。「慣行軌道上で描かれる未来像」ではなく、「創りたい未来像」を描き、同じような熱い想いを持っている共感者が必ずいるはず。その共感者とともに、ワクワクする未来像を描くことが、新しいSDGsビジネスを産み出すきっかけになるようです。

セミナーが行われたのは、狭い会議室でしたが、定員15社でしたが、机が足りず、後ろに椅子席が設けられ、みな真剣な眼差しでメモを取られていました。

いまや、SDGsは標準装備の時代。「SDGsウォッシュ」にならぬよう、後追いにならぬよう、前を走っていくことが大事なのだと思いました。

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